『人間たちの話』を買えなかった人間の話

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もうタイトルまんまで恐縮ですが、『人間たちの話』(著・柞刈湯葉)を買いに行ったら入荷してなくて買えなかったので悲しい、と。つまりそういう話。それだけの話です。言ってみればただの悔しい感情の発露なのですです。

湯葉先生といえば、自己増殖を獲得した横浜駅が本州の大半を横浜駅化するという『横浜駅SF』で知られる小説家で原作者で元研究者さん。

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他にも、地表がどんどん膨張していく世界で人力飛行機を作る大学生の話、『重力アルケミック』なんて最高に面白いので、もしあなたが未読であるならば是非読んでいただきたいと思う。

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さて『人間たちの話』であるが、これは湯葉先生初の短編集となっており、雑誌やwebに掲載した短編や書き下ろしが収録されている。らしい。

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その収録作のうちの一つ、「宇宙ラーメン重油味」。これが、短編集の中でも特にこれが読みたいんだ!

初出はSFマガジンとあるが、近所の本屋でSFマガジンとか見たこともなかったので、私は現時点でも未読なのである。「宇宙ラーメン重油味」とかタイトルからしてもう面白そうな予感がハンパないじゃん。"消化管があるやつは全員客"と豪語する店主の繁盛記、なんて絶対面白いに決まってんじゃん!

読む前から、手にする前から、まだ見ぬ『人間たちの話』に恋い焦がれて仕方ない。言うなれば、この記事は源氏物語読みたさすぎて出来た更級日記みたいなものだ。いや更級日記読んだことねーからわっがんねーげど。

とかく、僕の期待値はバリバリに高まっていた。ハートは熱く燃え滾ってはいたが、それでも頭脳はクールに冴えていた。その灰色の脳細胞が叩き出した解。すなわち、飯田が住んでる所は田舎だから、発売日に入荷はしないだろう。店頭に並ぶのは発売日の翌日だという結論だ。『人間たちの話』は3月18日発売。だから待った。一日千秋の面持ちで待った。朝から晩までイエローイエローハッピー歌いながら待った(一日 千秋)。そして来たる今日19日、仕事を終えた僕はちょびっと遠出し、デカさと品揃えに定評のあるイオンモールの本屋まで足を運んだのです。

だけど、だけど!いくら探しても見つからない。そんな馬鹿な。だって発売日が昨日なら今日には並んでる思うやんなあ!?売り場を亡者のようにぐるぐる探しても見つからないので、遂に最終手段[店員に訊く]を発動です。

「この本探してるんですが」

「この地域は発売日が1日遅れになるので明日入荷ですね」

「うん?そうなんですか」

いや発売日昨日やんか。

「あ、すみません待って下さい。あー、明日入るかどうか、ちょっとわからないですね」

「えっ、じゃあ明後日?」

明後日とか、宇宙ラーメンの麺が伸びちゃうょぅ……。

「いえ、祝日を挟むので確実に入荷してるのは来週になってしまいます……」

「マジか」マジか。

こうして飯田ちゃんは『人間たちの話』を手にすることなく、おめおめと帰り今に至るるるという訳であります。Amazon使えやと言われればそれまでなんだろうけど、だってだって飯田ちゃん旧人類だからAmazonなんてそんなハイカラなシステム手に余るねん。ああ、横浜駅は早く日本全土を横浜駅化して出版物の地域格差をなくしてくれぇーー!

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