『竜と祭礼─魔法杖職人の見地から─』
というGA文庫から出版されたライトノベルを読みましたので感想とか紹介をば。
何気に本についてこのブログで扱うのは(大谷さん回を除けば)初めてですね。
元々僕がこの作品を知ったのが、ツイッターでイラストレーターさんが挙げてた表紙絵を見たのがきっかけです。
こうやって表紙絵がバズって作品認知度が広がるのって凄い時代だなぁと思ったり。
通称エキゾチック褐色美少女さん、こういう子が好きな人居たら嬉しい #竜と祭礼 pic.twitter.com/CgzlFnDq5b
— Enji_C97新刊委託中 (@enji_works) 2020年1月7日
うん、エキゾチック褐色美少女いいよね……。
だってエキゾチック褐色美少女だもの、買うしかないわ。
さてさて本の内容はと言いますと、
師匠が亡くなり半人前の魔法杖職人イクスの前に、エキゾチック褐色美少女ユーイさんが杖の修理の依頼に来る。というのが始まりです。
エキゾチック褐色美少女さんにとって大切な大切な杖なんですが、その杖の芯材が未知すぎる。
調べるうちに、どうやら竜の心臓らしいぞ、と判明。えっ、でも竜って1000年以上前に絶滅してるし、やばたにえん。
果たして杖の修理は出来るのか!?
みたいなのがあらすじ。
魔法、竜、と来てつまるところファンタジーなのですが、むしろガチのファンタジーだと思うんですが、一般的に想像する剣と魔法のファンタジーかって言うと違うんです。
本のタイトルにあるように、あくまでも魔法杖職人の見地からってのがミソであります。
杖職人は杖を作ったり直したりが仕事で、彼らは人より杖を上に置く。
そんなもんで主人公のイクスさんときたら、無愛想で無礼で空気の読めなさときたら喧嘩商売の反町もかくやである。
エキゾチック褐色美少女ユーイさんもユーイさんで割と論理的なところあるし、杖修理に協力してくれる姉弟子モルナの店手伝いである天才少年オットー君に関しては、必要最低限しか喋らない。
あざといのは姉弟子くらいのものである。
そりゃあ作者がハードボイルドと定義するのも頷けよう。
竜と祭礼の感想を見てるとファンタジーなのはそうとして民間伝承もの、歴史もの、ミステリー、ハードボイルド、伝奇、SFなど色々言われてて面白い。作者の意識に一番近いのはハードボイルドでしょうか(いや違うか?)
— 筑紫一明 (@tsukushi_1mei) 2020年1月20日
そんな三度の飯より杖が好きな変わり者職人の見地で語られる物語だ。剣と魔法のド派手なバトルなどアウトオブ眼中で、ひたすら杖の芯材探しに没頭していく。
没頭しすぎてこの世界の民俗学の域まで足を突っ込んでいく。もう最高。
つまりジャンルとしてはファンタジーなのだが、それが高純度の正当ファンタジーなのか、ファンタジーの皮を被った別の何かか、あるいはその両方か。
少なくとも僕には分かりませんでした。
でもそんなのどうだっていいんですよ。だって面白いし。
最初の数ページ読んだだけで「あっ、これ、ガチで世界作り込んでる」て実感できるのは読者として幸福な体験ですし、
それでいて説明がくどくないのは、作り込んだ世界の一部をそれはこうだからそうなってるだけだと簡潔に述べているからだと思う。このへんがハードボイルドたる所以ですね。
民俗、国家、貧富の差、宗教、個人間などにおける相互不理解と相互理解のバランスも絶妙で、分かり合えない、関係ある、関係ない。そういった事態に向き合ったり折り合いをつけたりで少しだけ成長していくんですよ。もうたまらない。
・作り込まれた世界観が好き
・伝奇もの好き
・ミステリ好き
・このブログを書いてる飯田ちゃん好き
・エキゾチック褐色美少女好き
そんな方には是非オススメですので是非是非読んでいただきたいです。
あと最近、個人的に「◯◯が好きならコレも好き!」ていう紹介、あんま当てにならねぇよなぁと思っちゃったりするので、
とどのつまりなんでもいいから竜と祭礼みんな読もうぜ面白いから!!!!!!
了